映像制作には欠かせない要素、ナレーション
Premiere Proでは、比較的簡単に自分の声でナレーションを入れることができますが、プロの声優と比べると全然見劣りしてしまうしちゃんとした映像にはちゃんとしたナレーションを入れたいですよね!
今回は、実際にプロの映像クリエイターがどうやってナレーション作りを行っているのか、具体的な作業のプロセスをご紹介いたします! 映像制作に携わっていない方にはちょっと難しい内容かもしれませんが、参考になれば幸いです
制作の流れ
ナレーション作りの前に、まず簡単な制作の流れを説明します
まず、オフライン編集ではディレクターやエディターの声を入れた仮ナレを使って編集していきます
そして、クライアントチェック〜修正を重ねながらまず動画(音以外の画の部分)を完成させ、オンライン編集・MA(音声編集)へと入ります。本番のナレーションはこのMA時に同時に行われることが多く、MAが終わったら映像制作も完了(納品)といった感じです
キャスティングはオフラインの編集〜チェックの工程で同時に進めることが多いですね
では、次に各工程での具体的な作業を見ていきましょう!
オフライン編集
ここでは、仮のナレーション素材(仮ナレ)を使って編集作業を進めます。仮ナレはディレクターなどの声でスマホなど簡易なレコーダーを使って収録したり、よりイメージを膨らませたい場合はプロの声優を使って収録することもあります
いずれにしても完成形、特に尺のイメージができるように本番を想定したテンポで作る(読む)のがポイントです。ここでナレーションを読むペースが早かったりすると後から大変なことになります…
キャスティング
また、オフライン編集時にはナレーション出演者のキャスティングも並行して進めます。キャスティングは、声優プロダクションやタレントプロダクション1社〜数社にキャスティングの案内を出して候補者を出してもらいます。出てきた候補者のプロフィール・ボイスサンプルを取りまとめてクライアントへ確認に回し、OKが出た候補者で後日ナレーション収録をおこないます。僕の制作時は、プロフィールとボイスサンプルのみで決めることが多いですが、実際のナレーション原稿を読んでもらうオーディションを行うこともあります
キャスティングには、案件の詳細から競合についての取り決め、出演料、使用期間、収録スケジュール、キャスティングイメージなどの情報が必要になります
MA準備
さらに、オフライン編集時にはMA(音声編集)へ向けた準備も同時に進めます
MAとは、和製英語のMulti Audioの略で、ナレーション収録・音声ミックスなど音声周りの編集作業全般のことを言います。ナレーションブースを備えたMAエンジニア付きの専用スタジオに入って作業することが多いですが、最近はフリーの声優・ミキサーを使っておまかせで済ませてしまうこともあります
オンライン編集に入る場合には、オンライン編集・MAどちらのスタジオも持っているポストプロダクション(ポスプロ)スタジオで一気に仕上げることも多いですね
また、CMなど予算が大きい制作では、MA専用のディレクターを入れて演出してもらうこともあります
MA準備の工程では、これらの手配・スケジュール調整を行います
MA本番
MA当日は、特別にMAディレクターを入れていない場合は、映像ディレクターがディレクションを行います
声優さんへの演出の指示、ミキサーさんへ編集の指示を行いながらナレーション収録を進め、最終的なクライアントOKが出るまで調整・修正を重ねていきます。 ナレーション収録は後からやり直ししようと思うと大変なことになるので、ちょっと不安だな〜 と感じたら2パターン録っておくなど保険を打っておくと安心です!
ナレーション収録する際に使用する台本のことを、ナレーション原稿(ナレ原)と呼びます。ナレ原には作成にいくつかルールがあるのですが、その一つが縦書きにするということ。横書きのナレ原はあまりなく声優さんが読みにくく感じてしまうのでナレ原を作る際は縦書きにします
納品
MAが終わったらミックスデータをもらってPremiere Proで動画と組み合わせれば完成です! 僕の場合、MA後はほとんど作業することはないのでMA終了=納品というイメージですね
尚、MA時はミックスデータの他に、ナレーショントラック・BGMトラック・SEトラックなどトラックごとに書き出したバラ(ステム)データや、作業したProTools(MAではProToolsがスタンダード)のセッションデータ(Premiere Proのプロジェクトのようなもの)をもらうこともできるので、修正の可能性がある場合は色々もらっておくといいですね!
まとめ
今回はちょっと専門的な話が多くなってしまいましたが、なんとなくナレーション制作のイメージができたでしょうか?
音声制作って映像制作の中でも特殊で、専門的な知識が必要になったり取っ付きにくいんですよね…
でも、本格的な映像作品を作っていこうと思ったらナレーション制作は避けて通れない工程なので、今回の記事が少しでも制作の参考になればと思います!