動画のファイルサイズの仕組み -ビットレートを理解する-

動画データのファイルサイズは画像や音声と比べてカナリ大きく、取り扱いに苦労することも多いと思います

サイズが大きくて管理が大変というだけならともかく、映像制作を仕事として行っているとデータ容量がシステムの上限を超えていてアップできない!という場面も出てきます

そんな時に、動画データのファイルサイズの仕組みについての知識があれば「このくらいまでならサイズダウンしても大丈夫」という判断ができるのですが、このファイルサイズというのが色々な要素が絡んできて結構わかりにくいんですよね…

そんなわけで今回は、映像制作初心者には理解するのが面倒な「動画のファイルサイズ」についてできるだけわかりやすく解説してみたいと思います!

目次

ファイルサイズを決める要素

前書きで「色々な要素が絡んできて」と書きましたが、まずはこのファイルサイズを決める色々な要素について見ていきます

コーデック

コーデックは動画の圧縮方式のことで、「どの程度動画ファイルを圧縮するか」決めるためファイルサイズへの影響は最も大きい要素です

コーデックについて詳しく説明するとカナリ長くなってしまうのでここではごく簡単に主なコーデックとその特徴を説明します

H.264一番基本のコーデック、とりあえずこれ使っておけばOK
データ容量は結構軽め(ファイルサイズが小さい)
H.265カナリ新しい規格のコーデック、Windowsなど見れない環境が多いので要注意
iPhone撮影時に設定が「高効率」になっているとH.265で撮影される
WMVWindows標準搭載のファイルフォーマットWMVに対応したコーデック
Mac環境では作成も視聴(標準アプリ)もできないので注意
ProResAppleが開発した動画編集に特化したコーデック
ProResに変換するとビックリするくらい編集が軽くなる
その代わりファイルサイズはとても大きいので注意

色々書きましたが、特に他のコーデックを求められることがない限り「基本的にH.264」という認識で大丈夫です

当然ですが、尺が長ければその分ファイルサイズは大きくなり、短ければ小さくなります

ビットレート

今回のタイトルにもなっている「ビットレート」。生成する動画ファイルの1秒間にどれくらいのデータを詰め込むか決めるのがビットレートなのですが、実は動画のファイルサイズを決めるのはこれが一番大事な要素なんです

ビットレートが画質を決める

この前の「ファイルサイズを決める要素」のところで、フルHD・4Kなどの画面サイズが入っていないことに気が付いたでしょうか? 実は、画面サイズは直接動画のデータサイズには影響せず、4K・6Kなど画面サイズが大きくてもビットレートが小さければファイルサイズは小さくなります

その分、画質が落ちることになるので、動画ファイル作成の時には画面サイズと画質を見比べながらビットレートを設定することが大事になってきます

画面サイズ以外にフレームレートが大きい場合も、基本的に高いビットレートが必要になります(ファイルサイズが大きくなる)

といっても、大体はPremiere Proのプリセット通りに設定しておけばOKで、実際には前書きで書いたような「システム上の都合でどうしてもファイルサイズを落とさないといけない」という時だけビットレートを調整するという感じです

ビットレートによる画質の違い

では、ここからは実際のビットレートの違いによる画質の違いを見ていきましょう!

尚、Premiere Proでは書き出し設定の中にビットレートを指定する項目があります

Premiere Proのビットレート設定画面

この「ビットレート設定」の中の項目を設定することでビットレートを調整します

詳しい説明は省きますが、基本は「VBR(可変ビットレート)、1パス」を選んでおけばOKです。あとはターゲットビットレートを変えることでデータサイズ・画質を変えていきます

ビットレート1Mbpsでエンコード

まずは最小の「1Mbps=ビットレート1」で書き出してみます

画面サイズは1920×1080(フルHD)、尺5秒、ファイルサイズは872KB

ファイルサイズは動画データとしてはカナリ小さめですが、さすがにその分画質が悪くこれではちょっと厳しいですよね

ビットレート10Mbpsでエンコード

続いて、同じ動画をビットレート10で書き出してみます

ファイルサイズは6.6MB。見た目はだいぶ良くなりましたね! これなら確かにフルHDといった画質で問題なさそうです

ビットレート30Mbpsでエンコード

最後はビットレート30で書き出します

ファイルサイズは19.6MB。こちらも画質は良好ですが、ビットレート10の3倍のファイルサイズがあるとは思えませんよね? それもそのはずで、今回編集したフルHDの動画であれば10MBもあれば最高画質になるので、30MBに上げてもファイルサイズが大きくなるだけで画質が上がることはないんです

実際には、動きの激しい動画の方が高ビットレートが必要になるなどの条件があるため、全てのフルHD動画がビットレート10Mbpsで最高画質になるというわけではありません

というわけで、逆に考えると「ビットレート30で書き出しされたフルHDの動画があったら、ビットレート10で書き出して1/3程度までファイルサイズを落としても画質は劣化しない」ということになります

さらにいうと、フルHDより画質が劣るHD(1280×720)やSD(720×480)であればさらに低いビットレートでもOKということです!

ビットレート1MbpsでSDサイズをエンコード

先ほどの動画を今度は、画面サイズをSDワイド(854×480)まで落としビットレート1で書き出してみます

YouTube上では画面サイズが自動調整されてしまうため、以下の動画はYouTube上での画質比較がしやすいように一度SDワイド(854×480)・ビットレート1Mbpsで書き出した動画をフルHDシーケンスに乗せ周囲に黒塗りを入れて再度書き出しています。表示されている動画の画質は「SDワイド(854×480)・ビットレート1Mbps」と全く同じです

SDワイドデータ、オリジナルのファイルサイズは896KB。最初にお見せした「ビットレート1」のサイズとほぼ変わりありませんが、さほど画質が落ちているようには感じないと思います

先ほど書いた通り、画面サイズをフルHD(1920×1080)からSDワイド(854×480)に落としたため、ビットレート1でも画質は十分な画質が確保できたわけです!

画面サイズを小さくしたからファイルサイズも小さくなったわけではなく、画面サイズが小さくなったおかげで画質を劣化させても気にならなくなるという点がポイントですね

まとめ

というわけで、今回は動画のファイルサイズを決めるビットレートについて解説しました

ビットレートやコーデックなど、動画のフォーマットに関することってややこしくて理解するのが結構大変だったりしますが、仕事で動画を扱っている方には不可欠な知識なので、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです

それでは、みなさんよきクリエイティブライフを!

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